講義は教室の外へ。実習は学内でという発想の転換。

学内実習をコーディネートしています。今回は、看護学校に精神疾患を持つ患者さんを3人お招きしました。患者さんに、いつから、どんな症状が出てきて、どんな薬を飲んでいて、今はこんな暮らしをしています、というお話をしてもらいました。

病院で実習をすると、病気で入院している部分に注目してしまいます。もちろんそれは、とても大切な看護の実践能力です。患者さんは治療のために入院しているのですから、合併症も起こさずに社会復帰してもらうための介入は重要です。

でも、入院するまでの生活も退院してからの生活も大事です。患者さんをお招きして、その唯一無二の人生ストーリーを語ってもらったとき、学生が水を打ったように静かに聞いていました。そして衝撃と感動と発見で満ち溢れていたようです。

妄想や幻聴と共存していること、お互いの症状を理解し支え合いながら生活していること、「今が一番幸せ」という言葉が聴けたこと。こんな生き方もあるんだと受容していること。「人の痛みの分かる看護師さんになってね」と言ってもらったこと。

ピュアな空間に立ち会えたことに、私も胸が熱くなりました。

地域を学ぶということは、こういう空間をつくることだと思いました。基礎科目は教室の外で学んで、学内で実習というのも面白い~

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