新人看護師のうちに学んでおきたい資産運用

新卒看護職員の離職率が 10.2%と高止まりしている。引用:https://www.nurse.or.jp/home/assets/20240329_nl04.pdf

例年実施している看護職員の離職率や給与の状況のほか、看護補助者の離職率・確保や定着の取り組み、仮眠の状況、看護業務の効率化に関する取り組み、タスク・シフト/シェア等について調査され、改善策を模索している。

新人看護師教育の中に「お金の勉強」を入れてはどうか。

1. 経済的不安の軽減が離職を防ぐ可能性

  • 看護師が早期に離職する理由として、業務負担や人間関係に加え、「経済的不安」がある。奨学金の返済や家賃など経済的に自立していくうえでの不安、将来、結婚や出産と仕事との両立の不安など
  • iDeCoや新NISAを活用した資産形成教育、給料から天引きされるお金にどのような項目があり、またそれがどんな仕組みになっているのか学ぶ必要がある。
①心理的安心感の向上
  • 経済的展望を持つことで、新人看護師が将来の不安(経済的不安)、まず今すべきこと(業務を覚える・より良い人間関係を築いていくなど)、キャリア形成に対することなど、漠然と「これでいいのかな?」を整理することができる。
  • 経済不安の軽減→ストレスの緩和→離職率の低下に直結しなくとも、経済的見通しを立てることは大事である。
  • 「手取り、めっちゃ少ない~」と嘆く前に、何にいくら払っているのか理解することで心理的安心感につながる。
②福利厚生の充実が職場への定着を促進する
  • 病院が資産形成に積極的に関わることで、職員の福利厚生や生活向上に力を入れているという好印象を与えることができる。
  • 職場への長期的ビジョンを持つことにつながり、離職防止につながる可能性がある。

2.縦断的調査や質的調査

  • お金の教育前後導入の新人看護師の離職率を縦断的に調査(導入後1年、2年、3年目の経過観察)。
  • 資産形成教育が行われた後の経済的・心理的な変化を追跡し、その相関を検証する。
  • 新人看護師へのインタビュー、資産形成教育が心理面や職業意識に与えられた具体的な影響を理解する。
  • 「資産形成の知識を持ったことで将来に対する不安が減り、継続して仕事をしたいと考えることができた」 「職場が職員の将来を考えてくれていると感じた」 といえるかどうか・・・・・

3.給与明細や社会保障制度に関する理解

  • 収入の内訳を冷静、経済感覚を養う。

控除は大きく分けて「税金」と「社会保険料」の2種類ある。

  • 税金 所得税 住民税
  • 社会保険料 厚生年金保険料 健康保険料 介護保険料 雇用保険料
なぜこの内容を学ぶ必要があるのか必要か
  • 経済的自立の基盤となる給与管理、社会保障制度の知識がなければ、単に「投資商品の知識」を得ても活用が難しい。
  • 毎月、給与として入ってくるお金と社会保険料や税金の意味を理解して、長期的な視点での資産形成(iDeCoや新NISA)が使えるメリットを実感できる。

教育の方法(実践案)

  • ワークショップ形式で実際の給与明細や源泉徴収票を使い、具体的に体験的に学ぶ
  • ファイナンシャルプランナー等の専門家を招き、お金の教育を行う
  • オンラインツール(シミュレーションアプリ等)を活用し、自分のライフプランを定着化する
  • お金と将来の夢や目標の関係性について学ぶ(キャリアデザインワーク)

期待できる効果(仮説)

  • 新人看護師が自分の経済状況を把握することで、長期的な勤務継続の向上につながるのではないか。
  • 職場満足度や将来設計への検討をする機会は、離職率が低下する可能性があるのではないか。