中途採用の看護師には、当然、看護師国家資格もありキャリアもあります。だから、とても重宝されます。
しかし、いろいろなパターンがあり、新卒看護師を育てるより困難を感じる指導者さんもいるようです。理由は様々。
- 経験年数が浅い、夜勤の経験がない、手術室(特殊な病棟)のみの経験など ⇒看護師経験の差が大きい
- 結婚や出産、介護、配偶者の転勤のためやむを得ず前の病院を辞めた ⇒自身のライフスタイルと仕事バランス
- 人間関係の問題で辞めた ⇒人間関係に困難感を抱えている
- 前職場の仕事が嫌だった、ついていけないと感じた ⇒テクニカルな問題を抱えている
- 前職場に不満を持っていた ⇒もっと条件がいいところがいいと思った。頑張って働いていたのに認めてくれないと感じていた
- 新しい職場の理念に共感を持った ⇒もっとキャリアアップしたいと思った
中途採用看護師も新しい病院に慣れるまで時間がかかったり、テクニカルスキルを習得するのに時間がかかったりすることもあります。反面、馴染むのが早くて、不満や課題発見も早くて「ここでいいのかな?」と失速する場合もあります。中途採用看護師から、こんな言葉が飛び出した時は、指導者はしっかりと話を聴く機会だと判断できます。
- 「ここでのやり方がわかりません」
- 「教えてくれる人によって言うことが違うからわかりにくい」
- 「前の病院では・・・・」という比較
- 「今は家庭のことを優先したい」
- 前の職場の悪口をネタに、スタッフを巻き込んで大笑い
- 「もっと早く、○○をやっていきたい」
責任回避型、他者批判型、自己承認のための対立型、仕事以外は同調できる型、実力以上にポジティブ型とネーミングしてみました。
もちろん、中途採用看護師のおかげで、マニュアルを見直す機会になることも、新しい知識、やり方が導入される機会にもなります。しかし、それらの機会を得るためには、受け入れ側の職場が、きちんとした方向性があって、新しいものをキチンと見極めて受け入れていこうというプロセスを踏んだ時だけです。「え、そうなの?」「だいたいうちでは、こんな感じだから」では、お互いに不信感が残ってしまいます。
中途採用看護師育成のポイントは、以下の通り。
- 今の職場では、「○○看護をしていく」という明確な方向性を伝える
- その人のための教育計画を立てるために、前職を辞めた理由を建前なしで聴く
- 双方が納得した教育計画を立てて進めていく
- 教育計画は、何度でも修正しながら進めていくことができる関係性を築く
中途採用看護師が、素晴らしく育っていく職場は、受け入れ態勢と教育体制が整っていると思います。個人の能力の問題と片付けないで、中途採用看護師を受け入れる側の教育体制の見直しをお勧めします。