辞めること、辞めないこと、どちらが正しいという話ではありません・・・・

コロナ禍において、医療の現場に携わっている方の疲弊感、閉塞感、疲労感を聴くたびに、ついつい感情が揺さぶられてしまいます。「辞める」という選択をした看護師さん、「辞めない」という選択をした看護師さん、どちらの方に対してもいいとか悪いとかを言うつもりは全くありません。

ただ、現状を把握しておきたいと思っています。

最近退職を検討した医療従事者は33.5%という数字を目にしました。コロナ禍において「辞める看護師」と「辞めない看護師」には、どんな背景があるのでしょうか?

そんなことを考えていると、ふと、SOCのことを思い出しました。SOC とは「Sence of conherence」、首尾一貫感覚と訳され、看護学生の教科書にものっています。第二次世界大戦時にナチスドイツの強制収監所に収容された人たちのインタビューを行った医療社会学者アーロン・アントノフスキー博士が提唱したものです。人間は、有害なストレスにさらされ続けても健康を維持していられる要因があると述べています。その要因をSOC と名付けました。SOCは3つの要素から成り立っています。めちゃめちゃ簡単にまとめると以下の通り。

1)有意味感……どんな困難も、自分にとって意味のあることという感覚
2)把握可能感……落ち着いて考えれば、これからおこることは予測できるという感覚
3)処理可能感……対応できる、自分は大丈夫という感覚

私は、病院研修や看護師さん対象の研修をさせていただく中で、このコロナ禍で、コロナ対策の話ではなく「看護教育」に関して学ぶためにお金も時間も使ってお越しいいただきありがとうございます(Zoom参加も含みます)という気持ちになります。そんな場で、いつも話し合いをさせてもらったことを元にまとめてみると・・・

辞めたいなと思っても辞めない看護師さんたちの思いは、「今、看護師ができることはなにかを考えている。学生や新人看護師にもちゃんと伝えていきたい」という有意味感を持っている人。「今、転職したところでコロナの影響を受けていない病院や施設などない。それなら今は、慣れた病院で働くほうがいいと思う、繰り返すかもしれないがいずれ収まる」という把握可能感を持っている人。「感染対策さえきちんとしていれば大丈夫」という処理可能感を持っている人、様々です。辞めた看護師さんや転職した看護師さんの中にも、もっとコロナ重症患者さんのいる病院で働くことを希望する人もいました。

連休明けから、私も病院で学生の実習指導を行います。3年ぶりに白衣を着ます。それはSOCの高い看護師さんたちの話に触発され、専門学校や大学からの依頼を受けることとなりました。

自分の身を滅ぼしてまで、働き続ける必要はないと思います。しかも、どんなに冷静かつ論理的に考えても1)から3)の感覚が得られる環境にない場合は、辞めるという選択をしてもいいと思います。「えー、こんな大変な時に!!」と言われようが、思われようが、自分の身を守るのは自分です。

もしもまだ、どうしようかな~と悩んでいるのであれば、1)から3)を参考にしてもらって、いろんな視点から、今の仕事と向き合っていけるといいなと思います。こんな時期だからこそ、問い直しをしてみる時間は意味があります(^^♪

看護専門のお仕事紹介【キララサポート看護】