2040問題、サイレントすぎてその変化に気づいていない・・・
私たちは日ごろから、目の前のことに必死になりすぎる(それは悪いことではない)。私も同じです。時々、私は、いつのまにか周りが急激に変化していることに気づいて驚くことがあります。
再び、お年寄りや基礎疾患のある方に不要不急の外出は控えるように呼び掛けています。そのことが筋力低下や認知力の低下、孤立につながることは容易に見当がつくのですが、致し方ないといった感じで物事は進んでいます。
お年寄りや障害のある人が、少しの風邪をこじらせたり、転倒したり、誤嚥したりして入院しなくても済むように、ケアマネさんや訪看さん、PTさん、介護士さん、みんな総出で頑張ってくれています。もちろん、病院で働く人たちもスムーズに退院できるように懸命です。
その陰で、じわりじわりとさらに深刻な問題は迫ってきています。総務局が打ち出している多様な自治体行政の展開によりレジリエンス(社会構造の変化への強靱性)を向上させる視点から、65 歳以上人口が最大となる 2040 年頃の自治体が抱える行政課題を整理していこうという試み。看護師も看護教育もどんどん参入していきたいものです。
たとえば胃がんで入院して手術を受けて、退院するときには認知症が進んで、ベッドから転倒して整形外科病棟に転棟。その後、リハビリ病棟とか地域包括支援病棟とかに変わりながら入院生活。胃は治ったけど、歩けなくなってね~ということあります。今ならコロナ禍で家族は面会できないし、とはいえ、入院も長くなってくると家族の一員が家にいない生活にも慣れ始めたり・・・・入院中の生命保険が入ってきたりして・・・・。このシステム、エンドレスに医療費はかかるし、人手は足りないし・・・・を生んでいるような気がします。
しかも、家族からは人間が老いること、病むこと、死ぬことを看取るという最も大事な学びを奪っているのです。私には、それが最も悲しいのです。だから、「家族が介護をやれ!」とは言っていません。みんなが知るべき大事なことなんです。病気になるまえに、歳をとるまえに学んでおきたいことは、案外学校では学べないことなのかもしれません。
私は、個別塾や看護学校の授業で「統合失調症の人に出会ったことはないか?」「脳性麻痺の子どもに出会ったことはないか」などなどとよく聞きますが98%の確率で「ない」と答えます。そのような社会のしくみになっていることに問題を感じます。みんな電車にも乗っているし町で暮らしているというのに・・・。関心を持てばわかるし、見えるはずなのに。
そして、みんな平等に歳を重ねていくのです。
私は、看護学校の授業や演習で、このサイレントに進行しているにもかかわらず、多くの人が当事者意識のない問題をケーススタディしてみようと思っています。