今、どの状況の対象者と出会っているか?

医学書院の『精神看護の基礎』の教科書を活用して作成してみました。

ノートを図のように整理しておくと、どの状況にある患者さんに出会っても何をしていけばいいか(看護目標)がすぐにわかります。また、何を観察したり、情報収集をすればいいか(アセスメント)、何をすればいいか(看護計画)がわかりやすいと思います。

例えば、下記のような患者さんを受け持ったとします。

第106回 看護師国家試験を改良
Aさん(28歳、女性)は、両親と3人で暮らしている。24歳のときに統合失調症を発症し治療を開始している。Aさんは大学卒業後に一度就職したが、発症後に退職し、現在も無職である。2週前から元気がなく、自室に引きこもって独り言を言っているのが目立つようになったため、両親同伴で外来を受診した。両親からは、1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用(有害事象)を気にするようになったという話があった。主治医より薬物治療の目的を説明し、Aさんは任意入院することとなった。

Aさんは、24歳のとき統合失調症を発症して、内服治療をして自宅療養中の方です。3次予防の看護を求められます。しかし、この情報だけなら少し足りないです。何が足りていないのか図を用いて解説します。

Aさんは、24歳のとき、どのような発症と経過だったのか(型)。Aさんの家族はどんな家族関係か、療養生活はどうだったか(成因)。現在の症状(引きこもって独語)は、幻聴?妄想?幻覚?ほかに、まとまりのない会話や行動はなかったのか(症状)。なぜ、再発したのか?内服はできていたのか?(治療)などなど、です。

実習では「不足している情報収集」をしてください。不足している情報が何なのか?がわかることが、大事です。得た情報は、皆さんの学校の様式にしたがって、分類すればいいだけです(アセスメント)。分類する根拠は、教科書や参考図書です。

例えば、数学で「2つの三角形が相似であること」を示すための条件は、①3組の辺の比がすべて等しい ②2組の辺の比が等しく、その間の角が等しい ③2組の角がそれぞれ等しい。3つの相似条件のうち、どれかが成り立つ場合、「その三角形は相似である」といえます。

看護のアセスメントも同じ。「看護問題であること」「看護問題でないこと」を示すための条件を教科書や参考図書から引用して成立させる作業です。そんだけ~~(^^)/

看護の方向性は、治療目的から考えて「薬物療法により症状の緩和ができる」です。ただ、家族とAさんとの関係性やストレスの要因、薬物の有害事象、薬物に対する拒否感など、情報を得ることによって、看護の方向性は長期目標、短期目標と具体化され、看護介入もさらに具体化されます。具体化するだけで複雑化はしません。そのためにも整理が必要!

AさんがAさんらしく、今後、社会の中で暮らしていけるように。またAさんのご家族も安心して暮らしていけるように、看護にできることを考えていきたい事例ですよね。情報不足は致命的!

統合失調症だけではなくて、胃がんの患者さん、肝硬変の患者さんでもぜひ試してみてね。でも「手術を受ける」「高齢である」「糖尿病の既往歴」などは、別のページで整理しましょう!

https://kango-support.or.jp/category/diary/education-diary