中途採用の看護師育成は「はじめが肝心」のポイント。

中途採用の看護師は、即戦力を求められます。すぐに夜勤ができるとか、患者さんのケアができるとか・・・新人看護師を育てるみたいに時間がかからないと考えられています。私も、そう思っていました。でも、いろいろ病院でお話を聴いていると、中途採用の看護師もその看護師を迎え入れた職場も「あれ?」を抱えていることがわかりました。

例えば、病院での中途採用と一言で言っても、様々な背景があります。「手術室の経験だけです」「以前は施設で准看護師で働いていたのですが、今年国家試験に受かったので、年度途中だけど病院で働きたいなと思って・・・」「1年目で、しんどくなってやめました」みたいに。どれがいいとか悪いとかではなく、背景がまちまちで、転職の動機もまちまちなのです。

そこで、スムーズに組織になじめるように、一番初めにしておく肝心なことをまとめてみました。

①転職するとなると、何かとめんどくさい書類があれこれあります。事務の人がまとめてしてくれるのですが、事務の人も人事異動があったりして、うまく申し送りできていないこともありがち。「一度に言っておいてくださいよ」みたいなことはよくあることです。そんな、なんでもない些細なやりとりが不信感につながって、入職してからも引きずってしまうと、お互いに人間関係の基盤からぐらつきます。入職前に白衣のサイズやロッカーの場所、名札の写真、免許書の写し、諸々の書類などなどに加え、「これで、すべて整いました。ほかに何か、ご質問はありませんか?」という話し合いのできる場と時間を設けることをお勧めします。

②「即戦力として期待していますよ」とついつい勇気づけのつもりで言ってしまいがちです。「承認」「歓迎」の言葉だと思っています。しかし、受け取る側はさまざまです。「わかりました!今までの経験をいかして頑張ります!」という人もいれば、「えーーー期待されても困る」「そんなに人手が足りてないのかな?忙しいのかな?」などなど、やる気があるとかないとかではなく、感じ方が違うんです。そして、「期待」と「承認」「歓迎」は違うんです。

③すべての中途採用の看護師にクリニカルラダーのⅠレベルを入職時、配属部署の管理者の方が面談ツールとして用いるとよいと思います。もちろんジャッジしたり、評価したりするために行うものではありません。「外科で10年働きました」というキャリアを持っていたとしても、心臓外科、消化器外科、呼吸器外科、脳外科、整形外科、婦人科や泌尿器科など微妙に違うことも多いので、強みや課題を可視化し共有したうえで、自部署の特殊性や現状、管理者のビジョンを伝えると、中途採用看護師は自分の立ち位置を自分自身で決定できると思います。

④オリエンテーションは、ついつい、一方的に話してしまいがちです。でも、読めばわかることは、話さなくてもよいので、どちらかと言えば、中途採用看護師の質問に答えるくらいの時間にしてみるといいと思います。医者が患者さんにするインフォームドコンセントも患者さんが話す時間が多いほど、「説明を十分に受けた」と感じるというデータもあるくらいなので、「ちゃんと、オリエンテーションを受けた」と感じるためには、読めばわかるものを渡しておいたうえで、「疑問、質問」に答えたほうが記憶に残りやすく「聞いていない」「初めに教えてもらっていなかった」という不満にならず、「私が、最初に聞いておけばよかったのですが・・・」「今さらで申し訳ないのですが・・・・」と改めてわからないことを聞ける人間関係をつくっていけるのではないでしょうか。決して責任を押し付けるためのものではなく、記憶に残りやすいオリエンテーション、いつでも聞きやすい人間関係をつくることが目的です。

⑤「看護をしていて楽しかったこと教えてください」とか、「印象に残っている場面」とかを語ってもらう時間をもうけるのは大事です。「看護観」など堅苦しいものではなく、面接試験でもなく、看護師として働き続けていく「軸」「価値」「やりがい」みたいなものを言語化すると話しながら、気づくこともあります。「○○を大事にしながら、働いてこられたのですね」と受容することは、また、職場は変わっても「○○を大事にして働こう」と思えます。「もう無理」という相談を受けた時、本人もわかっていない「○○を大事にできなかった葛藤の存在」に気づいてあげられるかもしれません。

以上、中途採用看護師に育成の「はじめ」に取り入れて欲しいポイントでした。新人看護師育成と同じ部分もあります。違いといえは、前職場での経験値が比較の対象となり、良くも悪くも影響を与えてしまうので、リセットするもの、生かせるものを話し合っておくことです。