真夏の森の中、子どもたちのキラキラした笑顔であふれていました。
小学校1年生から6年生混合の40人の子どもたちと1泊2日のキャンプにキャンプナースとして同行しました。
私の役割はキャンプで「子どもたちの健康と安全を守る」ことです。そのためには麦茶を沸かしたり、ゴミを拾ったり、残飯を片付けたりします。脱水、けが、感染症予防につながるからです。
しかし、子ども自身で管理できる内服薬を服用できたことをほめたりしません。「OK」と言うだけです。内服できている子どもに対して、私がほかの子どもの前で褒めると「薬を飲む子はえらい子」になってしまいます。内服できた子どもを褒めるとすれば、こぼさずに飲んだ、忘れずに飲んだ、治療に積極的に参加した、内服によって症状の軽減を確認できたなどです。
子どものチャレンジを応援する
キャンプでは、仲間づくりハイキング、アウトドアクッキング、天体観測、宝探し、工作など、様々なプログラムが組まれていました。子どもたちは新しい友達との関係性を探りながら、大自然の中でたくさんの経験を楽しんでいました。
エピペン®持参の子どもや頓服薬を持参した子どももいました。事前の準備とコミュニケーション、チームリーダーのボランティアのおかげで、特に大きなトラブルは起こりませんでした。
アレルギーに対する初期対応、ADHD傾向にある子どもの対応、場面緘黙のある子どもの対応などは、私の臨床経験と看護教員の経験が生かされると思っています。しかし、入院中や学校生活ばかりでなく、暮らしの中とくにキャンプという子どもにとって冒険のような体験の中で、親や知っている子どもがごく少数、他学年との交流という環境の中で一夜を共にすることにより、アレルギー反応が出やすかったり、精神的な症状として「夜尿」や「退行」として表現されることもあります。その体験の一つ一つが、次回も参加したい、挑戦したい、もっとできる気がする、いろいろあったけど総じて楽しかったというような記憶になっていくことを願っています。
当然、キャンプならではトラブル、例えば「転んだ」「お腹が痛い」「鼻血」「虫刺され」「ちょっとした喧嘩」などはありました。それもまたキャンプの醍醐味です。子どもたちはその都度、仲間やチームリーダーたちと一緒に問題を解決していました。私は、適切な距離で対応するよう心掛けています。
このキャンプを通じて、子どもたちは自分の力を試す機会を持ち、自然との関わりを深め、新しい友達との絆を深めることができました。私自身も、子どもたちの成長を間近で見守ることができ、それはとても貴重な経験となりました。
今回のキャンプで最も感じたことは、子どもたちと20歳代のボランティアのチームリーダーたちの「健やかさ」「可能性」でした。子どもたちの元気な笑顔、輝く目、そして、それらをサポートする20歳代のボランティアのチームリーダーたちの「たくましさ」「コミュニケーション力」「やさしさ」、どれも感動的でした。私は次世代にバトンを渡していくのだという気持ちにさえなりました。
キャンプの終わりに、子どもたちを出迎える保護者の皆さんが一斉にスマホを子どもたちに向け「おかえり!」と声をかけています。子どもたちは、一瞬に脱力したように保護者のもとに駆け寄っていました。
子どもたちが、安心して帰る場所があること、冒険したいという気持ちになること、どちらも包含して「看護」だと思いました。