S状結腸癌患者の事例

  1. トランプを用いて、4人グループに分かれてもらう。
  2. 患者基礎情報を提示する。トランプのダイヤ(消化器官とは)、ハート(大腸とは)、スペード(大腸癌とは)、クローバー(大腸がんの治療について)を調べて、グループ内で共有したうえで、初対面の患者さんに何を質問するかを考える。
  3. ロールプレイングをする。動画を録画して、ロールプレイングが終わったグループからクラスルームに動画をアップして何度も見ることができるようにする。この時、同じことを聞いていても解釈が違う部分がある。☛全体シェア ☛ロールプレイングでもう一度、質問の仕方を変えて聞いてみる。
  4. 術前の患者の状態をアセスメントしたうえで、術後看護計画の立案する。 ☛ シミュレーション学習へ
  5. グループはメンバーを移動させ、グループ格差が出ないようにする。

患者基本情報

  • A氏 男性 56歳 会社員
  • 既往歴 アレルギー性鼻炎  嗜好品 外食の時のみビールを飲む程度
  • 身長168㎝ 体重60kg(入院時)
  • 主訴 便秘 お腹が張る 便に血が混じっている
  • S状結腸癌 T3N2aM0    腹腔鏡下手術 S状結腸切除術 リンパ節郭清術 予定
  • 家族:妻55歳 長男20歳 大学生 長女18歳 高校3年生
  • 人間ドッグでCEA値(ng/mL)が高い、また、大腸内視鏡検査でS状結腸に腫瘍があると指摘された。当院を手術目的で紹介された。
  • 入院時バイタルサイン 体温36.4 脈拍78回 呼吸数16回  血圧132/74mmHg  SpO 98%
  • 胸部レントゲン 異常なし  心電図 異常なし
  • 検査データ  (学生が、欲しいと依頼のあったデータのみを開示した) ☛検査データの意味を理解したうえで情報を得る。      
  • 総蛋白  6.2 g/dL   アルブミン   4.2g/dL   総ビリルビン    0.3mg/dL
  • クレアチニン  0.7mg/dL   尿酸 3.8mg/dL                 
  • AST(GOT)20IU/L   ALT(GPT)15IU/L
  • LDH 220IU/L   総コレステロール   220mg/dL
  • HDL-コレステロール 45mg/dL  LDL-コレステロール155mg/dL         中性脂肪 150mg/dL
  •  血糖 (空腹時) 96mg/dL      HbA1C  5.0% 
  •  CRP 0.1mg/dL
  • ナトリウム 140mEq/L      カリウム 4.0mEq/L   Cl 100mEq/l
  •  赤血球数 400×104/μL    白血球 4200/μL   血色素量  12.0g/dL        血小板数 26×104/μL  

ロールプレイングで学び

  • 主症状に対する患者の状況に関する質問を聴かずに、自分の聞きたい項目に入ってしまう傾向にある。
  • 大腸癌の概要を学んだうえで、病気になる前の生活の情報を聴く。
  • 外科医、麻酔科医からの説明について、どのように受け止めているか、理解されているかを聴く。健康管理についての確認。
  • 栄養面で今の体重は、減ったのかどうかの質問!大事 消化器官の学習の上で食欲にどう影響するのか。
  • 排便に関する質問は、結腸の部分切除をするので、今の感情を聴くとよかった。「先生から、もう少し直腸の方にがんができていたら人工肛門にする手術だったと思いますが、今回はその必要はないと思います、と言われてよかった」「父も大腸癌だったし、兄も大腸ポリープで内視鏡で切っているので、私も気を付けていて、今回見つかってむしろ良かった」など

術後の看護計画に必要な追加情報

  • 喫煙歴 ☛なし
  • 排尿パターン ☛夜間排尿なし又は1回 一日7回ぐらい 飲水量2L/日
  • ストレスコーピング ☛積極的に学習する。わかる人に相談する。大腸がんのことを妻(会社員)に話してもわからない、それなら医者に聴く(この情報に対して、妻に相談できない。夫婦不仲説が浮上した)
  • 運動習慣:最寄り駅までバスを使わず歩く(25分) 下肢筋力と深部静脈血栓についてを説明したうえで質問

学生からの質問、感想

「吻合部不全の可能性」は、排泄に影響を起こすと思う。「排泄」の問題となるのか、「感染」の問題となるのか。☛ ペーパーペーシェントの限界。程度の差によるので、どちらも準備しておく。

ペーパーペーシェントの限界はあります!でも、「あ、」と言う気づきが得られることの方が大事。「Aさんは、脂っこいもの、肉類もあまり食べていない。ただ、家族に大腸がんの人がいたので気を付けていた。」など。

人それぞれ解釈が違う部分がある。