介護・看護・福祉の現場のDX化
最近挑戦していることがある。
オンラインの研修で、パワーポイントを見せたりする時間を減らすこと、あるいはなくすことだ。オンラインじゃなくても、減らした方がいいと思っているが、今のところ、看護師さんやコメディカル対象の研修のほとんどがオンラインなので、まずそこからスタートだ。
少なくとも継続的に研修を行っている病院に対しては、資料の配布はするがパワーポイントは作成しない。資料を基に考えてきてもらったことをディスカッションするというスタイルに変えた。安心できる場となっているので、十分に意見交換ができる。展望としては、事例提供をしてもらい検討をするようにしていきたい。「学生指導」「新人看護師指導」「外国人スタッフの指導」「部下育成」など、事例を提供してくれるだけで、十分に学び合える。論文やパワーポイントの作成はいらない。簡単なフォーマットに記入するだけで十分だ。もちろん、ペーパーレスだ。
こっちのほうが圧倒的に面白い。
先日のA病院の主任さん対象の「アサーティブ・トレーニング」は、私が楽しいと感じた講座だった。どんなにアサーティブに言い換えるか、それぞれ真剣に考えてくれていたので、実際はもやもやが残っている。もやもやは残ってもいい。楽しいというのは、参加者の共感であり、理解し合える喜びである。大袈裟に言えば、ホモサピエンスが生き残った所以に触れたようなものだ。
昨日の「組織内虐待防止」のオープンセミナーは、各施設の取り組みを共有してもらったり、虐待発見時の様子など、情報共有してもらった。私にとってもいい勉強になった。事例検討も行った。参加されている方は、どんな方が、虐待を受けやすいのか、肌感覚、経験値でわかっておられる。まず高齢者虐待に関していえば、80歳以上、認知症、要介護3以上、同じことを繰り返して言う、ものとられ妄想などを繰り返す、おとなしい、動作が緩慢、暴力行為がある、いろいろあげられた。つまり、相当のデータがそろっている。介護・看護・福祉の現場にDX化が進めば、高齢者虐待は予防できる。
ネグレクトの状態で脱水になって発見され病院に運ばれるよりも先に、80歳代の認知症の女性を50代の男性が一人で介護していると言う状態から介入する仕組みが必要だ。「個人情報が・・・」という人がいるが、悪用しようとしてるわけではない。「お困りごとはないですか」「こんな社会資源があることをご存じですか」という声を届けたい人に届けたい。
社会の中で、育まれ、見守られ、承認され、看取られていくことが、当たり前になっていくような社会にしていく。そのために、医療や福祉の現場が、社会の課題を囲い込まないことは重要だ。今現場で起こっていることを、介護福祉士や看護師たちが、地域社会に発信していく。みんなに知ってもらうことから始めたい。開かれていることによって、虐待の防止につながれば嬉しい。
私ができることを頭皮が痒くなるまで考えてみようと思う。