何かを伝えたい
ホールで、彼女は大声をあげている。
誰かともめているらしい。
つい1週間前までは肺炎になってしまって、元気がなかったけど、今日は以前の声のハリが戻っていた。
彼女が大声をあげることを、病気や障害の症状と見るか。
だれかともめていると見るか。
伝えたいことがあると見るか。
声のハリが戻ったと見るか。
正解は一つではない。
答えと思えるものは、始まりにすぎない。さらに観察が始まる。
日常に起こる騒がしいこと、珍しいこと、アクシデントなどに心を奪われるときがある。
看護師が心を失くしているとき、ニュートラルに観察することができなくなる。
だれでも、その人らしい表情や佇まいがある。
存在していることを輝かせている瞬間がある。
その時を見落とさないように、看護師は心を整えておく。
「看護」とは何かについて考えていくことを意図として、「看護師日記」を書くことにしました。私の看護師、看護教育の経験に基づいて表現していますが、人物が特定されないように、また文脈を損なわないように一部修正しています。