科目名:看護総合実習(患者体験型 1泊2日)

ちょっと面白い実習を考えてみたんですけど。実現するかしら?????

私の患者になってみた体験から思いつきました!

1.授業のねらい

看護学生が患者役として病院または介護施設に1泊し、入院・入所者の生活・環境・心理を身体で理解する。
単なる模擬体験ではなく、「夜を越える」という体験を通じて、患者の不安・孤独・生活リズムの変化・看護師の存在の意味を深く学ぶことを目的とする。

  1. 患者の“生活世界”を実感し、入院生活がもたらす身体的・心理的影響を説明できる。
  2. 看護援助(オムツ交換、清拭、移乗、食事介助等)がどのように患者の尊厳に関わるか、根拠を持って述べられる。
  3. 夜間の環境・不安・睡眠妨害の要因と看護師の役割を理解し、改善案を提案できる。
  4. 実体験に基づき、患者中心・生活支援型の看護計画を立案できる。
  5. 看護における協働とチーム医療の必要性を説明できる。

3.実習内容【事前学習・オリエンテーション(90分×2回)】

1回目:患者体験の意義と倫理

  • なぜ「泊まる」ことが重要なのか
  • 安全管理、感染対策、個人情報保護
  • 実習で体験する内容(例)
    • 入浴不可 / 食事制限
    • ベッド上安静(一泊二日の検査入院を設定する) 
    • 夜間のナースコール
    • トイレ誘導
    • 消灯後の不安体験
  • バイタルサインの自己管理方法
  • 心理的負担へのサポート体制(教員・施設スタッフ)

2回目:ロールプレイ・観察視点の確認

  • 「こうされると嫌」「安心する」の体験
  • ほかの患者の様子を同じ目線で観察する
  • 看護師の説明や質問を比較体験
  • 夜間の環境設定(照明・動線・音など)
  • 実習中に記録する“気づきシート”配布

【1泊2日 実習プログラム】入院手続き・環境への適応

  • 模擬入院手続き
  • 病衣へ着替え、持ち物の制限を体験
  • ベッド周囲の安全点検を見学
  • 環境の不便さ(ナースコールの位置、身の回りの距離感)
  • 食事姿勢の制限、配膳の待ち時間を体験

日常生活援助・ケアを受ける体験

  • バイタル測定を受ける
  • 清拭または手浴・足浴を受ける
  • 医師、薬剤師、栄養士の説明など他職種の責務を体験する
  • トイレ誘導/ポータブルトイレ体験(羞恥・不便さの理解)
  • 看護計画の説明を受ける

夜の入院生活の実感

  • 消灯
  • 暗所の不安
  • 隣室・廊下の音、見守りの音
  • トイレの距離・転倒リスクの実感
  • ナースコールを押す体験
  • 看護師の訪室時、安心感の違いを比較
  • 睡眠の妨げ(アラーム音、検温ラウンドなど)
    → セルフモニタリング:不安度・眠気・身体感覚

※教員・施設側で安全確認体制を整えることが前提。

退院・振り返り

  • 快適さの評価(環境・ケア・コミュニケーション)
  • 「患者としての不満やニーズ」を抽出
  • 看護師へのインタビュー(希望する場合)
  • リフレクション・グループワーク
    • 夜間に感じた不安
    • 自分が看護師になったら改善したい点
    • 患者教育・説明の改善案

4.授業方法

  • 体験学習
  • ロールプレイ
  • 24時間観察
  • リフレクションシート
  • グループディスカッション
  • プレゼンテーション

5.評価方法

①患者体験レポート(40%)

  • 身体的・心理的体験の分析
  • 気づきと看護への示唆
  • “自分ならどうする”の提案

②グループ発表(30%)

  • 患者体験に基づいた看護計画案
  • 実際の病棟改善アイデア

③実習態度(30%)

  • 安全配慮
  • 協働姿勢
  • 記録の確実さ
  • 援助者・施設スタッフへの敬意

6.実習における倫理的配慮

  • 強制しない/健康状態に応じて体験内容を調整
  • 過度な羞恥体験は禁止(模擬に留める)
  • 夜間は教員・看護師が常時見守り
  • 感情面のフォロー(デブリーフィング)
  • 実習で得た個人的情報は外部に共有しない

7.期待される教育効果

  • 「患者の夜はこんなに不安なのか」という深い実感
  • ケアの一つ一つの意味を身体で理解
  • 看護観の形成
  • 患者中心性の向上
  • 看護総合実習にふさわしい統合的学習の場となる