文字盤を使ってお話したこと
看護学生のとき、はじめて文字盤を使って話をした。
「と」
「け」
「い」
「み」
「ぎ」
30分かかった。
「時計を右に動かしたらいいのですね?」「YES]
ベッドサイドでガッツポーズをした。
患者さんも笑っていたように見えた。
天井を見上げて暮らしている患者さんの体の向きを変えたら、ナースコール、時計、テレビ、カレンダー、家族写真・・・全部移動する。
せめて、「と」で気づけよ、とあの時の自分に言ってやりたい。
患者さんが私に付き合ってくれたことに感謝してる。
35年たっても色あせない胸に迫る体験。
「体験」「挑戦」「感謝」が大事だとあの時の自分に言ってやりたい。
「看護」とは何かについて考えていくことを意図として、「看護師日記」を書くことにしました。私の看護師、看護教育の経験に基づいて表現していますが、人物が特定されないように、また文脈を損なわないように一部修正しています。