キャンプナースオンラインセミナー実践報告
テーマ:「発達障害のある子どもとのコミュニケーション」
講師:池田光余さん
3月19日20時から開催されたキャンプナースオンラインセミナーでは、「発達障害のある子どもとのコミュニケーション」をテーマに、池田光余さんを講師にお迎えしました。池田さんは看護師としての豊富な経験をお持ちでありながら、4人全員が発達障害や軽度知的障害を持つお子さんを育て上げたお母さんでもあります。そのリアルな経験から紡ぎ出されるお話は、多くの参加者に深い気づきと勇気を与えてくれました。
池田光余さんのストーリー
池田さんの4人の息子さんは、それぞれ発達障害と軽度知的障害と診断されています。しかし、池田さんは「子どもの個性を生かす」という姿勢で向き合い、4人の息子さん全員が社会で豊かに生活を送っています。特に長男は結婚してお子さんも授かり、家庭を築いています。
次男さんはフランス料理の料理人。英語はしゃべることはできませんが、フランス語はしゃべることができるそうです。
三男さんは美容師。特別支援学校から美容学校に入学したのは初めての事例。国家試験もあっさり合格し、美容師として活躍中!
四男さんは、自己表現の強い引きこもり(笑)。ゲーム関連の仕事をしたいという夢があるそうです。
池田さんは子どもたちの学校生活についても触れました。いじめや特別支援学級に通うことへの偏見による心無い言葉など、決して平坦ではない道のりがあったそうです。それでも大切なのは、発達障害のある子どもを「どうにかしよう」とするのではなく、「親として、人として、自分がどう向き合うか」であると語ってくれました。
人としての向き合う覚悟
池田さんは、自分の中に湧き上がる感情を丁寧に見つめ直し、その中に潜む価値観を理解することが重要だと話されました。子どもが「死ね!」などの攻撃的な言葉を使ったり、問題行動を起こしたりすることがあります。その背景には、過去に傷ついた経験や、人を傷つける武器として言葉を選んでしまう背景(過去の出来事)があるのだと語られました。
このようなとき、子どもの行動をただ抑え込むのではなく、「その子が何を伝えたいのか」に耳を傾けることが必要です。
参加者の方からのご意見に、時には自分の中に「集団をまとめられないことで上司からの評価を気にしてしまう自分」がいることを共有してくれました。池田さんは、その感情を受容しながら子どもたちと向き合っていくことが大事だとフィードバックされました。子どもの行動に注目するというよりも、自分の覚悟を見直すと言う感じでしょうか。
真のコミュニケーションとは
発達障害の有無にかかわらず、子どもの身体、言葉、行動には必ず真のメッセージが含まれていると池田さんはおっしゃいました。それを受け取るためには、何度でもやり直しながらコミュニケーションをとっていくことが必要です。
また、「発達障害のある子どもが集団になじめないとき、親や支援者がその状況をどう受け止めるかが鍵」とも話されました。子どもを親の都合でコントロールするのではなく、子どものメッセージを理解し、共に歩む姿勢が重要だという言葉が印象的でした。共に歩む、つまり一人の人間として対等であるということ、尊厳のある一人の人として向き合うということ・・・・。
学びと感想
セミナー終了後、参加者から「目の前の子どもとの向き合い方を見直したい」「自分の感情をもっと丁寧に捉えたい」「対等、尊厳と言う言葉が沁みました」といった感想が寄せられました。池田さんのお話は、看護師や保護者としての役割を超えて、「人としての在り方」を問いかける内容でもありました。
発達障害のある子どもたちと接する場面は、キャンプナースの活動においても少なくありません。このセミナーの学びを活かし、一人ひとりの子どもたちに寄り添い、真のメッセージを受け取る努力を続けていきたいと思います。
次回のオンラインセミナーもどうぞお楽しみに!
写真:池田光余さん