看護敗北宣言

高校生が入院していた。

事故で車いすの生活になった。

 

彼には、彼女がいた。

「クリスマスのプレゼント何がええかな~」と相談された。

「財布とか、アクセサリー類が妥当かな~」と答えた。

 

病室、二人で過ごした面会時間だけのクリスマス。

 

「彼女から何もらったの?」と訊くと

「リハビリに行くときに、膝にかける毛布みたいな・・・・」と照れながら答えた。

 

プレゼントを選ぶときは、あたかも隣にプレゼントを受け取ってくれる人がいるようだ。

ずっとずっと、彼を見ていて、考えて選んだと思う。

流行のもの、高価なもの・・・など価値はなく、彼にとって、今、一番必要なものは何か、だけを考えていたのだ。

私、恥ずかしながら看護敗北宣言。

 

ひざ掛け毛布は、ボロボロになるまで彼のそばにいた。

「看護」とは何かについて考えていくことを意図として、「看護師日記」を書くことにしました。私の看護師、看護教育の経験に基づいて表現していますが、人物が特定されないように、また文脈を損なわないように修正しています。