「フリーライダー理論」、実に面白い一冊!

「なぜ行動しているのにうまくいかないのか?」

Changeが問う「人は頭では分かっているのになぜ、行動しないのか?」に続く質問です。この本質的な質問に、私は些か面喰ってしまいます。私は「行動している人」です。しかし、行動しているからといってうまくいくわけではありません。私は自問自答します。「うまくいく、ってなんだ?その物差し(基準)は何を用いているのか?」。

この本は、その問いに答えてくれる一冊です。

そもそも、「フリーライダー」とは、その字のとおり「タダ乗り」です(笑笑)。グループワークやチームで何かをしようとするとき、ラクをして成果を得ようとする人がいます。その人を「フリーライダー」といいます。私は仕事柄、フリーライダーを見かけます。フリーライダーには共通点があります。その人たちは、あまり得していない、むしろ、物質的にも精神的にも満たされない、より貧しい時間(人生)を手にしているように見えます。タダ乗りしているにもかかわらず、不平不満をシコタマ言う謎の行動をとっています。

この本では、人との価値交換を「フリーライダー」のほかに、「イコールマン」と「プライムギバー」の3つに分類しています。

「イコールマン」は、贈与と等価の返礼を期待している人のことです。淡々と価値交換をする人です。必要があって150円のお茶を買って飲む、以上。・・・みたいな。平均的な人生を手に入れる・・・。可もなく不可もなく、淡々と生きていくために必要なことを繰り返す、著者は「植物」のようだと表現していますが、私にしてみれば植物に申し訳なく思うほどです。さらに言えば、私かもしれないと思ってしまいます。1000円の仕事は、1000円の仕事をしようとしている自分に出会うことがあります。起業してから如実に表れます。

一方「プライムギバー」とは、率先して価値を生産したがる人のことを言います。先に価値を提供し、消費よりも生産を大きくすることが人生のテーマです。プライムギバーは、贈与が受領されることを「楽しみ」としているのです。人間関係において、「価値交換」が喜びなのだから満ち足りた人生を送ることになると考えられます。

看護や教育というのは、まさに「プライムギバー」です。著者は、看護や教育、子育て、マネジメントを「アクティブベータ―」と表現しています。なぜなら「人は元々、異常を克服し、正常に回復する能力を持っている」からだと述べています。私は読みながら、ナイチンゲールか!?と思いました。つまり本質的といいますか、哲学的なのです。

結論、物差しはただ一つ。「相手の健全さが活性化しないなら、それは失敗である」。誰のせいでもないのです。

人間関係は経済活動の一種である。そう言ってもピンと来る人は少ないだろう。フリーライダー理論では、人間関係による健全さ、不健全さを経済活動の結果とみなす。もちろん、この場合の経済活動とは、お金やモノのやり取りだけのことではない。例えば、笑顔や気遣い、信頼、愛情、他人を助けることも立派な価値だ。私たちは、日々それらをあげたりもらったり、ときには奪い合ったりしている。人間関係や生きることそのものを経済活動だと捉えれば、それらをうまくやる方法も見えてくるだろう。