「Aくんが起きてくれないんですよ」とグループリーダーさんからの報告!その結論は何か?
小学2年生のA君、朝、ぐっすり寝てしまって「起きてこない」。
ただの疲労?ほかに何か病気でも?
小学校低学年の場合は、キャンプ2日目の朝、少し寝坊してしまうことありますよね。朝ご飯はかろうじて食べることができても、そのあとまた、爆睡ってことも。
今年の夏のように暑すぎれば、みんなと行動するだけでも暑い、熱い!!疲労もたまります。
単なる疲労と判断できるポイント
- 昨日の活動量や活動の様子
- 眠りの様子(揺さぶる・声をかけると一応目を開けて返事や反応がある)
- 皮膚の色、口唇色、爪床色が正常
- 体温や脈拍、呼吸(いびき、寝息)が正常
- 水分の声掛けに応じることができる。むせがなく飲める。
疾患が疑われる観察ポイント
特に注意すべきは「呼びかけに反応が乏しい」「顔色や呼吸に異常がある」場合です。Aくんは、既往歴やアレルギーなし、内服薬の持参はありませんでした。
その後Aくんは、便意を訴えトイレまで誘導しましたがトイレの中でも寝てしまいました。
便は普通。腹部の異常も認めませんでした。ここから、私が疑った病気は、疲労だけでなく、感染症、代謝異常(低血糖、低ナトリウム血症)、頭部外傷後の急性硬膜下血腫、熱中症初期などです。「もしかして、救急車!?」とも覚悟しました。
その時の観察項目!
(1)意識状態
- 揺さぶっても目を開けない、反応が鈍い
- 返答がおかしい、ろれつが回らない
(2)呼吸の異常
- 呼吸が浅い・不規則
- 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー音)がある
- いびきが普段と異なる(急に大きくなった、途切れるなど)
(3)顔色・皮膚の異常
- 蒼白、土色、チアノーゼ(唇や爪が紫色)
- 冷や汗や異常な発汗
(4)発熱や脱水の兆候
- 体温が37.5℃以上または低体温(35℃台)
- 唇や口の乾燥、尿量減少
(5)その他の危険サイン
- 激しい頭痛や嘔吐
- 痙攣
- 直前に頭を打った・虫刺されやアレルギー既往がある
- 前日からの体調不良(風邪症状、腹痛、下痢など)
推奨対応例としては・・・
- 保護者に「強い眠気が続く」「場所を選ばず眠る」という状況を具体的に説明
- 医療機関での受診を提案(可能であれば現地から同行)
- 万一、呼びかけに反応しなくなった、呼吸がおかしい、痙攣が出た場合は即119番
結果・・・
ご家族にお電話をしました。親子で心のケアを受けていることがわかりました。ご家族でとてもお辛いことがあったとのことでした。
確かに、キャンプの事前問診表に書く欄がない内容でした。
睡眠発作として現れた「解離症状」だったようです。
その後は、Aくんのペースで大勢と遊んだり、私と遊んだりしながら残りの2日間を過ごしました。
笑顔いっぱいで、帰っていく親子の後姿を見送って、きっと乗り越えられる日が来ると思いました。
* 個人が特定できないように登場人物を変えるなど配慮しています。
