草むらには危険が潜んでいる

春から秋にかけて、野外活動のベストシーズンが訪れます。子どもたちの好奇心を引き出す自然体験の中に、「見えないリスク」が潜んでいることをご存知でしょうか?

その代表例が「マダニ」です。特に近年注目されているのが、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という感染症。致死率の高さと治療法の未確立が報告されており、キャンプナース®にとっても十分な備えが必要です。

SFTSとは?

  • 原因ウイルス: SFTSウイルス(Bunyaviridae科フレボウイルス属)

  • 媒介生物: 主にマダニ(フタトゲチマダニ・ヤマトマダニなど)

  • 感染経路: マダニに咬まれる/発症者や感染動物(特に猫)との接触

  • 主な症状:

    • 発熱(38℃以上)

    • 倦怠感、吐き気、下痢、頭痛

    • 血小板減少、白血球減少、意識障害 など

  • 致死率: 約10〜30%(高齢者や免疫力が低い人が重症化しやすい)

子どもが重症化する例は稀ですが、キャンプ現場では動物との接触や自然とのふれあいが多いため、予防と早期発見が極めて重要です。

現場での予防策!!

① 服装指導と事前説明

  • 長袖・長ズボン・足首まで覆う靴・帽子の着用を指導

  • 明るい色の服装でマダニの付着を見つけやすく

  • シャツはズボンに入れる/首回り・袖口の締まりに注意

② 虫よけ対策

  • 含む虫よけスプレーを適切に使用

  • 肌だけでなく、衣類にも吹きかける

③ 活動場所の確認と選定

  • 背の高い草むらや獣道を避ける

  • 拠点となるテント周辺の草を刈り、整備する

④ 終了後のチェック

  • マダニが付着していないか、全身をチェック(特に脇・耳の裏・足首・股など)

  • 衣類の洗濯・高温乾燥を推奨

もしも咬まれたら?現場での初期対応

マダニは無理に引き抜かない!
  • 頭部が皮膚内に残ると感染リスクが上がるため

  • 医療機関で専用の器具で除去してもらうのがベスト

  • 服の上にマダニが付いていた場合の対応

    基本方針:払いのけてもよいが注意が必要
    • 服の上にいるだけのマダニは、まだ咬みついていない状態では、この段階では感染のリスクは低く、払いのけることは可能

    • ただし、以下の点に注意!!

      素手で払わない:マダニは意外と丈夫で、指で潰してしまうと体液が皮膚につくリスクがある。ティッシュ、ガムテープ、ピンセットなどを使用するのが望ましい。

      払いのけた後も行動確認:マダニは落ちた後も再度人に付着することがあるため、周囲の確認と手洗いを忘れずに。

キャンプナースの対応ポイント
  1. 患部を確認し、触れずに写真を撮って記録。

  2. 無理に取らず、速やかに保護者へ連絡。

  3. 医療機関の受診を促す。(地域の診療可能施設を把握しておく)

  4. 発熱や体調変化があれば、期間をあけて再連絡・経過観察。

保護者への情報提供も忘れずに

参加前の保護者説明会や配布資料で、

  • マダニ対策と服装のポイント

  • 活動終了後の家庭でのチェック方法

  • 発熱や体調不良時の対応先を丁寧に共有する

最後に:自然を楽しむために、正しい知識を

自然体験は、子どもたちの心と体の成長にとって欠かせないもの。だからこそ、リスクを知り、備えることが私たちキャンプナース®の役割です。

「怖いからやめる」ではなく、「正しく知って、安全に楽しむ」。

これからも、すべての子どもたちのチャレンジを、安心で包む社会を目指して!!

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