笑顔で暮らしている

彼女は、二人の息子を亡くした。一人は10代、もう一人は20代だった。

彼女が子どもを産み育てた20歳代から、子どもたちを見送った50歳まで、どれだけの涙を流してきたことだろう。

これが自分の人生だと受け入れるまでの七転八倒するさまを、私は容易に語ることができない。

 

あれから30年が経過した。

「お元気で暮らしているようですよ」と風の便り。よかった・・・・

「でもね、お二人の息子さんのお名前が、どっちがどっちかわからなくなっているみたい。すごくニコニコしているんだけど認知症がすすんでるのかな~」と。

元気ならよかった。

泣き顔しか思い出さない婦人の今が笑顔なら・・・・よかった。

彼女の人生の交響曲に欠かすことのできない息子たちの音が、記憶の片隅で奏でられているのであればよかった。

天使たちの「粋な計らい」だと思った。

「看護」とは何かについて考えていくことを意図として、「看護師日記」を書くことにしました。私の看護師、看護教育の経験に基づいて表現していますが、人物が特定されないように、また文脈を損なわないように修正しています。