看護師学校養成所指定規則の主な改正点のまとめ
皆様、ご承知の通り、今月の15日に厚生労働省のホームページに看護基礎教育検討会報告書が掲載されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07297.html
看護師3年課程の場合
主な改正点
- 97単位から102単位(総時間数は削除)
- ICTの活用
- コミュニケーション能力の強化
- 臨床判断能力に必要な基礎的能力の強化
- 対象の多様性に対応
- 「地域・在宅看護論」に名称変更
- 領域別実習単位を自由設定できる
見直しのポイント
- 学生が主体的に学ぶ教育方法
- 多様な実習施設
- 遠隔授業等の実施
- 教員補佐の配置
- 教育者の教育体制の整備(eラーニングなど活用)
一見するとひっくり返るほど変化があるわけではないのだけれど、世の中が変わっていますから、量的に変化(4年制になる、単位数が大幅に増える、科目数が増える)がなかったとしても、質感が違うことを実感した内容でした。
小手先でカリキュラムを見直すのはやめて、「理念(最上位目標)」は時代のニーズに合っているのか、看護師学校養成所としての差別化は意図的かを問い直しすることです。私も微力ながら、支援させていただいている学校は、まずそこから始めています。「最上位目標」を決定すればスムーズです。ただ、いきなり完成しません。2022年に適応ですが、その時、また世の中は変わっています。常に微調整が必要だという感覚を持つことが大事です。でも「最上位目標」さえ見失わなかったら、しなやかに対応できると思います。
教育内容は、一方向で進む必要がないと明示されており、「教育の実態から双方向的に往来しながらの学習もあり得ること」ということです。なるほど。極端な話、小児看護学実習に行ってから、小児看護学概論を習ってもいいわけです。基礎看護学実習にいってなくても、地域・在宅看護論実習に行ってもいいということですね!!なんだか、素敵。
ICTで、英語教育というのはよく聞きますが、離島や僻地の医療、国際看護(諸外国の保健・医療・福祉)に活用できそうで楽しみですね!!国内・外、問わず、学校間交流が必要になってきます。
解剖生理学や薬理学等を充実させ、臨床判断能力の基盤を強化するための講義や演習の充実を図る必要性については、国家試験のほうが早くからその傾向を示してくれていましたので、合点のいく話です。
解剖学、生理学、健康科学、病理学、症状論、疾病論、治療論を各校が最上位目標と照らし合わせて、組み換えやつなぎ合わせが重要です。外部講師との調整が重要になってくるので、外部講師会議やそれに匹敵するメルマガ??などの発信が必要ではないかと思いました。
「専門分野」の臨地実習では、各校の裁量で領域ごとの実習単位数を一定程度自由に設定できます。「最上位目標」と各領域の単位数とのつじつまが合えばOKなのだと思います。何が「うり」か大事だと思いますが、どうも世の中的には「うり」は一つじゃダメなんです・・・みたいなところがあるように思うのですが、いかがでしょう?(この感覚は、私だけかもしれません)欲張る必要はないのですが、学生も多様化しているので、選択肢として何か柔軟性が必要だと解釈していただければ嬉しいです。
地域に暮らす人々の理解、そこで行われる看護について学ぶこと、地域における多様な場での実習や多職種連携に関する実習が促進されることは、かなり納得です。
「ここにも看護」の種をまいて、豊かな社会につながるような看護基礎教育になるといいなと思っています・・・(^^)/