キャンプナースの楽しさ!
キャンプナースとしての活動は、体験型野外活動をする子どもたちの安全と健康を守る役割があります。
今回、私は80人の子どもたちと共に過ごした3日間のキャンプに同行しました。その充実感と課題、そして社会的意義についてお伝えします。
子どもたちのキャンププログラムは、子どもたちに多くの学びと経験を得ることができたと思います。同時にキャンプナースとしても学びの連続でした。
3日目のプログラムを紹介
キャンプの3日目は、子どもたちにとっても私たちスタッフにとっても、最も充実した一日でした。この日、海や自然を舞台に多くのアクティビティが行われ、それぞれが子どもたちにとって新たな挑戦であり、貴重な経験となりました。
マリンプログラム:いかだ・カヌー・ヨット・クルージング
猛暑の中、太陽が容赦なく照りつける日差しの下、子どもたちはいかだやカヌー、ヨット、クルージングといったアクティビティに夢中になっていました。空は澄み渡り、海面はキラキラと光り輝いています。その中で、子供たちは汗だくになりながらも、楽しさと達成感に満ちた表情を浮かべていました。
私は、この子どもたちの体験は、どんな体験として心に残っていくのだろうと考えながら、響き渡る子どもたちの歓声を聴いていました。船酔いをした子ども、軽い熱中症の症状を訴える子どもが、大学生ボランティアに連れられて、次々とやってきては少し休憩をして、子どもたちの群れの中に戻っていきます。その背中を見送ることにやりがいを感じます。
竹の水鉄砲大会
竹を使った手作りの水鉄砲は、涼を求める真夏のキャンプには最適のアクティビティです。子どもたちは、自分たちで竹を加工し、水鉄砲を作ることで、ものづくりの楽しさを体感しました。また、競技としての水鉄砲大会は、子どもたちにとって勝敗を意識しつつも、楽しさを共有する時間でした。
今回は、竹の棒を振り回して、お友だちの顔に当たってしまいました。出血がありましたが、洗浄と止血ですぐに止血は完了しました。保護者への電話連絡をしました。当の本人は、わんわん泣いていましたが、血が止まったことを告げると泣き止み、次の遊びを始めていることを伝えました。大きな水痘のあとのような傷が残ることがあるかもしれません。跡形もなく治癒するかもしれません。竹の棒を振り回した子も、けがをした子どもも「ごめんね」「いいよ」といっていました。体の傷よりも、お互いに学ぶことが多かったのではないかと思いました。
流しそうめんと定番カレー
お昼は流しそうめんでした。誰が考えたのかわかりませんが、日本の夏を象徴する伝統的な遊びで、子どもたちにとって夏のキャンプの定番です。私のおつゆの入ったカップに、子どもたちが、わんこそばのようにそうめんを入れてくれます。子どもたちも私もお腹いっぱいになりました。そうめんってこんなにおいしかったっけ?
夜は、夏野菜カレーでした。ナス、ズッキーニ、オクラ、玉ねぎ、トマト、お肉が入ったカレーです。 大学生ボランティアがオクラの調理方法がわからなかったらしく、ピーマンのようにオクラの種を取ってカレーに投入していました(笑)。ジャガイモやニンジンなどの根菜を入れていない分、どの具にもちゃんと火が通っているのでとてもおいしいカレーでした!
これまで、いろんなキャンプカレーをいただいてきましたが、これはいける!(家でも作ろう)という味でした!!ありがとう!!
スイカ割り
夏のキャンプの定番であるスイカ割りは、子どもたちにとって楽しみの一つです。この活動は、単なる遊びではなく、協力してスイカを割るためのコミュニケーションや、目隠しをした状態でのバランス感覚など、様々な要素が含まれています。しかし、炎天下で行われると熱中症のリスクと、スイカのひんやりした食感がなくなります。今回は、夕食後の涼しい時間におこないました。日が暮れるのが早くなっているので、スイカに群がるカブトムシのようなありさまでしたが、それはそれでとても楽しい光景でした。
海水浴
海水浴は、キャンプの中でも子どもたちが最も楽しみにしているアクティビティの一つです。しかし、海での活動は危険が伴うため、キャンプナースとしては細心の注意が求められました。溺水のリスクを回避するため、常に視界に子どもたちが入るようにし、遊泳範囲を明確に設定しました。また、日焼けや熱中症対策も重要なポイントであり、適切な日焼け止めの使用や休憩場所の確保をしました。備えあれば憂いなし・・・。無事終了しました。
ナイトハイクと花火
夜のプログラムでは、自然の中を探索するナイトハイクや、花火が行われました。夜の海辺は、昼間とは違う表情をしています。
想定範囲内の火傷発生。少し冷やして痛みは取れました。
夜の海はが引き出したのか、「お家に帰りたい」とホームシックになる子どもがいました。そうそう、「男の子だって泣きたいときは大声で泣こう!」「おかあさーーーーーーん」と海に向かって叫び、すっきりした様子。こんなに愛されるお母さん、素敵。
キャンプナースの役割と課題
3日目の活動を通じて、キャンプナースは単に医療的な対応を行うだけでなく、子どもたちが安全に、そして楽しみながら活動に参加できるように支援する役割を担っています。その中で直面した具体的な課題について、以下に詳しく述べます。
食物アレルギーの対応
アレルギーを持つ子どもたちの数は年々増加しており、キャンプの中でもその対応が不可欠です。食事やおやつ、流しそうめんといったアクティビティにおいても、アレルギー反応を引き起こす可能性のある食品を排除するため、事前に詳細なアレルギー情報を収集し、慎重に対応しました。さらに、万が一の緊急事態に備えて、エピペンや抗アレルギー薬を常に携帯し、迅速に対応できるよう準備を整えました。
お薬管理
キャンプには、持病を持つ子どもたちや、特定の薬を必要とする子どもたちも参加します。そのため、薬の管理は非常に重要です。特に、船酔いの可能性が高い子どもたちには、事前に薬を提供し、船上での体調管理を行いました。薬の投与時間や用量を正確に管理することは、キャンプナースの大切な役割です。今回は人数が多かったため配薬するのではなく、お薬ブースを設け内服に来てもらうというシステムを導入しました。
ケガやホームシックへの対応
キャンプは子どもたちにとって楽しい時間である一方で、慣れない環境での生活によるストレスや、親元を離れての不安感が原因でホームシックに陥る子どももいます。これに対して、キャンプナースは、子どもたちが安心して過ごせるように、心理的なサポートも行いました。ケガについても、活動中に発生した軽度のケガや擦り傷に迅速に対応し、必要に応じて応急処置を行い、症状によって感じていることを細かく聴きます。ホームシックを感じる子どもたちにも、励ますのではなく、「家に帰りたい」「お母さんに会いたい」と言う気持ちを聴きます。
軽度熱中症の対応
真夏のキャンプでは、熱中症のリスクが高まります。この日も、炎天下での活動が続いたため、軽度の熱中症症状を訴える子どもたちが数名いました。キャンプナースとしては、早期にその兆候を察知し、適切な休憩や水分補給を促すことが重要です。特に、体調不良を訴える子どもたちには、涼しい場所での休息を勧め、午睡をとることのできるスペースを設けました。
社会貢献としてのキャンプナースの意義
キャンプナースの役割は、子どもたちの健康を守るだけでなく、社会全体に対する貢献という観点でも重要です。以下に、キャンプナースとしての活動がどのように社会に貢献しているか交流会を通して深めていきたいと思います。
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地域社会への貢献
キャンプは、地域社会との連携によって成り立っています。地元の資源を活用し、地域の子どもたちが参加することで、地域の絆が強まります。キャンプナースとして、その場を安全に運営することは、地域社会全体の健康と福祉に貢献していると言えます。さらに、地域の医療機関や救急サービスと連携することで、地域医療の発展にも寄与しています。
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予防医療の重要性
キャンプナースの活動は、予防医療の一環として非常に重要です。子どもたちが健康な生活習慣を身につけ、病気やケガを予防するための知識を学ぶ場を提供しています。特に、食事や運動、自然との触れ合いを通じて、健康的な生活習慣を形成することができます。また、アレルギーや持病を持つ子どもたちへの対応を通じて、予防医療の重要性を実感しました。
子どもたちの訴えに対して、まずは、よく聴き、手当てをする(訴えの部分を触る)ことが大切です。とても小さな怪我でも、その子どもにとっては何か大きな意味のあることかもしれません。よく聴いてみて、見てみて、話し合ってみることが子どもたち自身が自分の身体や心と向き合う機会になると感じています。 -
子どもたちのメンタルヘルスサポート
キャンプナースは、子どもたちの身体的な健康だけでなく、メンタルヘルスのサポートも重要な役割を果たしています。特に、ホームシックや不安感を抱える子どもたちに寄り添い、彼らが安心して過ごせる環境を提供することは、メンタルヘルスの維持に繋がります。また、子どもたちが新たな挑戦に対する自信を持てるように支援することで、彼らの自己肯定感を高める効果も期待できます。「転ぶから走らない!」ではなく、走ってみると転んだよ、ぶつかったよ・・・・から学べることもあるかもね、子どもの貴重な体験を奪ってはいけません。
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看護師としてのキャリアの拡大
キャンプナースとしての経験は、看護師としてのキャリアを拡大する絶好の機会でもあります。通常の医療現場とは異なる環境での対応能力や、アウトドアでの医療知識、子どもたちとのコミュニケーション能力を磨くことができます。これにより、看護師としてのスキルセットが広がり、将来的なキャリアの選択肢も増えるでしょう。キャンプナースの活動は、看護師としての新たな挑戦であり、自己成長の場でもあります。
さいごに・・・
3日目のキャンプナースとしての実践を通じて、看護師という職業がどれほど社会に貢献できるかを改めて感じました。80人の子どもたちと向き合い、様々なプログラムをサポートする中で、彼らの成長と笑顔を見ることができたことは、何よりの喜びです。この経験を通じて、私は看護師としての新たな可能性を発見し、今後のキャンプナース活動に活かしていきたいと考えています。
キャンプナースの活動は、単なる医療行為ではなく、子どもたちの未来を支える社会的な役割を持っています。これからも多くの子どもたちに安全で楽しいキャンプ体験を見守っていきたいと思います。そして、看護師としてのスキルをさらに磨き、地域社会に貢献できる存在であり続けたいと思います。
看護学生に対して、キャンプナース演習、キャンプナース実習をやってみたいです!!
キャンプナースファーストエイドHPもぜひご覧ください。https://campnurse.jp