たまたま読んでいた本の最中、真夏の災害・・・・・

染井為人さんの『海神』を読んでいる途中、宮崎の地震を知った。

私は、『災害』について、こんな切り口で見てこなかった。リアルで人間の強さと弱さと両面を知ることになった。寒さに凍える老婆の描写と、事実、この暑さの中、宮崎県の被災された方々は地震後の片づけをしているのだろう。

そして、日本は、原爆の日を迎え、また終戦の日を迎える。「今」と歴史の中から、ため息と胸をえぐられる文章の芸術に私はただ私の時間を私として生きるほかないと感じた。

染井為人氏の『海神』は、東日本大震災で被災した三陸沖の小さな島を舞台にした社会派ミステリーだ。物語は、復興支援のプロ・遠田政吉が救世主として現れ、行政の支援が届かない島での救助活動や遺体捜索を通じて島民の信頼を得るところから始まる。しかし、彼に巨額の復興支援金の横領疑惑が浮上し、島は再び混乱の渦に巻き込まれる。

島出身の新聞記者・菊地一朗は、この疑惑を解明するため遠田の過去を探り続ける。そこで明らかになるのは目を背けたくなるような「悪」。

染井氏の『悪い夏』『正体』も読破したが、今回の本は、何度ももうやめようか・・・・・と現実逃避したくなった。テーマは震災後の混乱と再生をめぐる人間ドラマではあるが、問いかけられている事柄が深すぎる。

ただ、絶望の中から希望を見出すことはできるんだと改めて思ったのだ。宮崎県日向灘を震源とする地震によって、「南海トラフ地震」がクローズアップされ、8月9日の夜にも神奈川県で震度5弱の地震があり、私たちは、いつ当事者になるかわからない。おびえるのではなく、受け入れるのだ。頼るのではなく、自分が動くのだ。

そう思って、読み終えた後の余韻に浸っている。

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