新人看護師の技術を効果的に指導するためには手順をふむことが重要です。

1. クリアな目標を設定する：新人看護師にとって、配属された病棟において最も理解しなければならないスキルのリストを作成します。スキルに優先順位をつけ、どのスキルを最初に指導するかを決定します。学習者が達成する必要がある目標を明確にします。難易度が高いものは、簡単なものから順番に習得できるようにする、もしくは優先順位の高いもの（緊急性高いもの、日常的にできないと勤務ができないような繰り返し必要なスキル）を病棟の特殊性から作成します。クリアな目標を設定し、新人看護師が納得して習得できるよう準備しておくことが大事です。例えば、循環器内科の新人看護師さんと消化器外科の新人看護師さんでは、最初に学ぶものが違っていて当然です。横並びにしたり、比較したりすることには意味がありません。

2. 能動的な学習を促進する：理論や手順について講義するだけでなく、実際に行うことができるようにすることが大切です。「勉強してきてから、患者さんのところに行く」という方法ありますが、患者さんのところに行ってみて気づいたことを生かすというやり方もあります。さまざまな方法で能動的な学習と実践を繰り返す環境をつくります。

3. フィードバックを提供する：新人看護師がスキルを習得するためには、適切なフィードバックが必要です。「できているところ」「改善するともっと患者さんに喜ばれるところ、患者さんの健康回復に役立つところ」を伝えます。「褒めポイント」がわからない人は、「今回、工夫したところはどこ？」と新人看護師さんに聞いてみて、新人看護師さんの考えて工夫したところをほめるといいと思います。

4. 学習プロセスを反映する：新人看護師には、自分自身で学習するためのスキルも必要です。自分自身の学習プロセスを反映し、問題解決の方法を学び、成長するための計画を作成することを助けてあげましょう。

5. 継続的な教育を提供する：看護師としてのスキルは常に進化するため、継続的な教育が必要です。新人看護師がスキルを向上させるために、組織内の継続的な教育プログラムや研修会、他部署や多職種の人たちと情報交換できる機会を増やします。視野を狭くさせてしまわないことが大事です。

 新人看護師の技術力のばらつき

1. 個別の面談：新人看護師のスキルレベルには差があるため、個別の習得確認をしていきます。新人看護師時代は、ばらついていて当然ですので、いかに「患者さんに丁寧であるか」がポイントです。そのために、時間がかかることがあったとしても、新人看護師の倫理観や理想まで削り落としてしまわないことが大事です。

2. 個人のニーズに合わせたトレーニング：新人看護師を向上させるためには、個人のニーズに合わせたトレーニングが必要です。モデル人形　☛　他の看護師が患者役になる　☛　患者さんに「新人看護師のスキルアップに協力してほしい」と状況を伝えて行う　などがあります。

3. チームワークの促進：個人の能力に差がある場合、強みを生かすことができるよう、チームワークを促進しましょう。 高度なスキルを持つ看護師の技術を見せることは、まだ未熟なスキルを持つ看護師の励みなるとは思いますが、劣等感や「無理かも」を引き出してしまうかもしれません。サポートする看護師と「ともに育つ」というような環境を創り、見守るチームがあることが、チーム全体としてのケアの質を向上させることができます。その結果、新人看護師も引っ張り上げられるように成長するという仕組みです。

4. 継続的な教育：看護師としてのスキルは常に進化するため、継続的な教育が必要です。各看護師が自分のスキルを向上させるために必要な教育を提供したうえで、個人の能力の格差を「セールスポイント」ととらえ、お互いに尊重し合い補完し合うこともできます。

新人看護師のメンタルを強化するためには？

1. ストレスマネジメント：看護師としての仕事はストレスの多いものであり、ストレスを上手に管理することが重要です。新人看護師にストレスマネジメント技術を伝えていきます。

2. セルフケア：セルフケアは看護師のメンタルヘルスを守るために必要不可欠なものです。新人看護師は、看護師の勤務のリズムを習慣化できるまで、自分自身の健康を管理してもらいます。十分な睡眠、バランスのとれた食事、運動、そして休暇などのセルフケアを実践することまで配慮が必要です。

3. コミュニケーションスキルの強化：良好なコミュニケーションスキルは、看護師のストレスを軽減する上で非常に重要です。促進しましょう。まずは、職場のコミュニケーションは、悪口や不平や不満ばかりになっていないか確認しましょう。

4. サポートシステムの提供：新人看護師にとって、メンタルヘルスの強化にはサポートシステムが必要です。新人看護師がストレスを抱えた場合には、専門家によるカウンセリングや、同僚との相談など、適切なサポートシステムを提供することが必要です。

5. ポジティブなフィードバックの提供：新人看護師に対してポジティブなフィードバックを提供し、自らの自尊心を高めることが重要です。看護師が自信を持って仕事に取り組むことができれば、ストレスを減らしメンタルヘルスを保つことができます。自信を持つというのは失敗しないという意味ではなく、「できるようになるまでやろうと思う自分がいる」という自信です。

1. 看護の意義や重要性を伝える：看護は、患者の人生を支え、患者の健康を改善する、豊かに死を迎えるなどのケアの役割を担っています。看護が持つ意義や重要性を理解してもらうことは大切です。

2. 刺激の提供：新人看護師が自らの成長や発展に刺激されるような機会を提供しましょう。看護師が興味を持つ分野や業務に関わることができるよう環境を整えることが重要です。例えば、新人看護師のときから、看護部長体験、看護師長体験、他部署や多職種との意見交換会や他部署への院内研修に参加し、自分が発表者（情報提供者）になることはとても刺激的だと思います。

3. 看護の経験を積む：新人看護師が看護の経験を積んでいくことは、看護がどのように患者の人生に影響を与え、健康を回復するかを学ぶことができます。やりがいや楽しさを「中学生の一日看護師体験」「高校生の進路説明会」の場所で、プレゼンをする機会をつくることは、より看護の経験を自分の経験として実感することができます。

4. 組織文化の醸成：組織文化の醸成により、看護が楽しいものであることを新人看護師に伝えることができます。組織文化には、患者中心のケアやチームワーク、コミュニケーションなどが含まれます。そのような文化が浸透している組織に所属していることで、看護が楽しいものであることを実感できます。

5. 肯定的なフィードバックの提供：新人看護師に対して、成功体験や成果を評価する肯定的なフィードバックを提供し、看護の楽しさややりがいを感じることができるようにしましょう。やりがいと楽しさと、困難感、へこむこと、無力感はいつも同じ土俵の上にいます。いろんなものを俯瞰してみて、スポットを当てるところを変えるだけで、肯定感が増していくと思います。