「伝えたいことを伝えていない」新人看護師指導の事例①

新人看護師のAさん、入職して三ヶ月。明日は、初めて患者さんに退院指導をする日。育てる側の看護師さんは、「じゃあ、明日、よろしくね。」と声をかけると「はい、頑張ります」と笑顔。にもかかわらず、翌日、Aさんは発熱でお休みしますと連絡がありました・・・というケースです。

育てる側の看護師は、「退院指導のシミュレーションもしたし、昨日は笑顔で帰っていったじゃない。熱ってどういうこと!?」という心中をお察します。さて、明後日、マスク着用で活気のないAさんにあなたなら何と伝えますか。

① 済んだことだし、体調が悪くなったのだったら仕方がない。黙っておく。
② 体調管理しないとだめだよ。
③ 患者さんは、Aさんから退院指導を受けるつもりにしてくれていたのに、患者さんの思いはどうなるのか考えてみて下さい。
④ 自信がなかったの?だから休んだの?自信がないならないと言わないとわからないから、これからは言ってね。

ほかにもいろいろ言い方、伝え方があります。どの言い方がいいとか悪いとかではありません。模範解答もありません。

はっきり言えることは、以下の通りです。
①は、何も解決しないうえに、育てる側の気分も晴れず、わだかまりが残ります。わだかまりがそのうち消えてしまうかもしれませんが、貯金されていくといつか爆発する恐れがあります。そして、患者さんへの退院指導は何も結果を出せていません。
②の体調管理は確かに大切ですが、患者さんへの退院指導は何も結果を出せていません。
③の患者の思いを考えることも大切ですが、やっぱり、退院指導は何も結果を出せていません。
④は、「休んだことは退院指導に自信がなかったこと」と一方的に解釈され、そのうえ、退院指導は何も結果を出せていません。

①~④のいずれも「退院指導」について実践もしていないうえに、ティーチングもコーチングもしていないし、患者さんの退院指導につながることを何も伝えていません。

高齢患者さんが多いうえに在院日数は短縮し、退院までの期間を有効に使って退院後の生活がより健康で安心して送れるように指導するという「看護師が行う退院指導」、つまり看護師の仕事の本筋を伝えていないのです。

結果、退院指導をできる看護師を育てていないことになります。

もう一度、看護師が行う退院指導が、いかに患者さんの退院後の生活やその人生に影響を与えるかを伝えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

新人看護師にとって、自ら志願した看護の道に、そんな意味や意義があったのかと気づかされるときほど、この仕事を選んだ「甲斐」を感じるものです。そして、うまくいかなくても、うまくいったとしても、次へとつながる行動をおこしてみようと思うかもしれませんね。