季節がみえる

老健施設、看護学生と全盲の利用者さんは、散歩に出かけた。

葉桜になりかけている木の下で、二人は並んで座っていた。

二人は、葉桜を見上げた。

 

「私の目が見えなくなったのは20年前。だから見上げれば桜が見えるの。

今年も満開ね」と言った。

 

学生は涙をいっぱい溜めて、もっと上を見上げて「満開ですね」と絞り出して言った。

 

「看護」とは何かについて考えていくことを意図として、「看護師日記」を書くことにしました。私の看護師、看護教育の経験に基づいて表現していますが、人物が特定されないように、また文脈を損なわないように一部修正しています。