白く美しい指の正体
患者さんは点滴が必要になった。
患者さんは点滴を抜いてしまったので、ミトンが必要になった。
患者さんは回復して点滴の必要がなくなったので、ミトンも必要なくなった。
ミトンをはずした手は、白くて、美しい指をしていた。
手を触ると冷たかった。
ごしごし手や指を拭いてみたら、少し桜色になった。
私が「今日はもう手袋はいらないかな~」と思う春先に、「やっぱり冷たいな~」という日があってもあきらめがつく。自分で決めたことだから。
でも、
ミトンをつけることも、ミトンをはずすことも、自分で決めていない患者さんには、看護師は指先の体温調節まで怠らないようにしようと思った。
「看護」とは何かについて考えていくことを意図として、「看護師日記」を書くことにしました。私の看護師、看護教育の経験に基づいて表現していますが、人物が特定されないように、また文脈を損なわないように一部修正しています。