椎骨動脈解離により延髄外側梗塞を発症!

症状出現までの経過(前駆症状)

2025年11月2日、左肩から左後頭部の痛み出現。その日は、子どもたちの無人島キャンプのキャンプナース®として参加しており、救護テントの寝袋で一夜を明かした次の日だった。同行していた職員も肩の凝りを訴えていたため寝違えたと判断し経過。その後、左側の頸部痛(後頸部〜耳介後部痛)として持続していたが、NSAIDsを一日1錠内服する程度で普段通り仕事ができていた。

11月16日(日)9時より大阪での仕事のため前日から大阪に宿泊。その際、2週間の左側の頸部痛が持続しているため、整形外科クリニックを受診し、ブロック注射を受けた。しかし改善は認められなかった

発症当日

起床直後より左眼瞼下垂に気づく。その日、知人らからも「左眼瞼下垂」を指摘された。ブロック注射を受けた部位の同側だったため「何か関係があるのか」と考える程度違和感であった。しかし、昼食時、水分や固形物ともに飲み込みづらさを自覚した。さらに声もいつもと異なり、しゃべりづらさを感じたが予定していた仕事は終了した17時頃には症状がさらに進行した。

  • 左眼瞼下垂の悪化
  • 左口角下垂
  • 嚥下困難(唾液でさえ“意識して嚥下しないと飲み込めない”嚥下反射の低下)
  • 右上肢の知覚障害

■ 救急外来受診(2025年11月16日22時)

大阪から白浜まで帰省し、夫の運転でA医療センター救急外来を受診。MRIにて、延髄外側部に梗塞を確認。MRA にて、左椎骨動脈解離による血流障害が認められた。

治療の開始

ICU入室時の治療および看護の結果

  • 血圧コントロール:カルシウム拮抗薬(アムロジン)経鼻投与 → 解離の進行防止と脳灌流維持→応急的な降圧剤の投与は不要であった。
  • 安静→ 血流変動を避けるため、ベッド上安静。トイレのみ介助にて車いす。
  • 絶食→ 嚥下反射低下に伴う誤嚥性肺炎防止。口腔内ケア、呼吸音の確認。SpOモニタリング
  • 抗血小板療法:アスピリン経鼻投与→ 血栓形成による再梗塞の予防。心電図モニタリング
  • エダラボン(エダボラン)点滴静脈内注射の投与→ フリーラジカル抑制による脳保護。
  • 鎮痛→NSAIDs経鼻投与→ 左側頸部〜耳介後部痛(椎骨動脈解離痛)の緩和。→ 緩和が認められなかった際、アセトアミノフェン(アセリオ)点滴静脈内注射の投与→ 夜間の疼痛緩和と睡眠時間の確保のため応急的に投与した。痛みの緩和と睡眠時間の確保につながった。

早期リハビリテーションの介入

  • STによる嚥下評価

反復唾液嚥下テスト→30秒間に3回の嚥下ができず、口腔内に唾液が残っている状態であった。誤嚥のリスクあり。後日、改訂水飲みテスト実施予定。

  • PT・OT

頸部から下の右上下肢の感覚障害(痛覚・温度覚の低下)

頸部から上は、左眼瞼下垂と知覚異常 

左半身の小脳性失調(膝踵試験および鼻指試験陽性)錐体路の障害(バレー徴候陽性)

→ ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)は、延髄の外側には前庭神経核、三叉神経、小脳との連絡路、温痛覚を伝える神経路、自律神経等が通っている。そのため、延髄レベルでの舌咽神経(Ⅸ)・迷走神経(Ⅹ)・副神経(Ⅺ)・舌下神経(Ⅻ)への影響が懸念された。

私の場合は、左延髄外側梗塞のため、左顔面・右半身の感覚障害(温痛覚)、発声困難、左手足の運動失調(小脳症状)、交感神経障害(左眼瞼下垂:ホルネル徴候)を呈していた。しかし、現在までに眼振、瞳孔縮小などの指摘はなく、発症当日にあったしゃべりづらさの自覚は消失している。また、唾液でさえ“意識して嚥下しないと飲み込めない”嚥下反射低下も改善しつつある。

リハビリの成果は追って報告します!!