看護師国家試験の状況設定問題は、何といっても「検査データ」のアセスメントです。

過去の問題を少しアレンジしただけの問題です。ぜひ、解いてみてください。

Aさん(68歳、男性)。妻と二人暮らし。建築関係の仕事を続けている。1週前から感冒様症状があり様子をみていたが、呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症による間質性肺炎と診断され入院した。既往歴、42歳で糖尿病と診断された。62歳と65歳で肺炎に罹患し、3年前から禁煙している(20~65歳は20本/日)。身体所見は、BMI17.6。体温38.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉91%。両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。血液検査データは、白血球13,000/μL、Hb10.5g/dL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2mg/dL。動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉38Torr、動脈血酸素分圧〈PaO2〉56Torr。胸部エックス線写真と胸部CTで、下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。

問題1 入院時のAさんの身体状況のアセスメントで適切なのはどれか。

  1. 水様性の気道分泌物が貯留している。
  2. 呼吸性アシドーシスである。
  3. 糖尿病性ケトアシドーシスである。
  4. 栄養状態は良好である。
  5. Ⅰ型呼吸不全である。

 

答えは「5」 ポイントは、特発性肺線維症による間質性肺炎ということと、動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉38Torr、動脈血酸素分圧〈PaO2〉56Torr。

水様性の気道分泌物が貯留している場合は、水泡音が聴取されるので「1」ではない。pH7.35であり、正常範囲内であり、呼吸性アシドーシスではないので「2」ではない。糖尿病性ケトアシドーシスのデータがないので「3」ではない。BMIはやせであり、Hb、総蛋白、アルブミン値が低値で、栄養状態は良好とは言えず「4」ではない。ここまで消去できると、答えは「5」だけれど、「Ⅰ型呼吸不全」という言葉が、わからなかったらちょっと迷ってしまうかも。載っている教科書と載っていない教科書があるようですね。

簡単に言ってしまえば、呼吸不全は、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉が正常or低下しているとⅠ型呼吸不全。動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉増加しているⅡ型呼吸不全とに分けて考えます。Aさんの場合は、低下しているので「Ⅰ型呼吸不全」です。

既往歴(糖尿病)、アルブミンの低値など、目が奪われがちですが、情報をふるい分けるところ(アセスメント)が求められていますよね~~

まだ時間はあるから、焦らないで、わからない言葉、病名、覚えきれていない検査データを復習すると「間に合う~~」